あゝ七尾城                   作詞:高橋掬太郎・作曲:細川潤一

 

1 月影さゆる 夜の陣

  いななく駒よ 何思う

  更けて鎧の 袖を引く

  秋風さむし 七尾城

 
   上杉謙信の九月十三夜 陣中の作
    

<詩吟)          <口語調>
霜満軍営 秋気清   霜は軍営に満ちて  秋気清(しゅうききよし)

  数行過雁 月三更   数行(すうこう)の過雁(かがん)月 三更(さんこう)

  越山併得 能州景   越山(えつざん)あわせ得たり 能州(のうしゅう)の景

  遮莫家郷 憶遠征   さもあらば あれ家郷(かきょう) 遠征を憶(おも)う

2 空飛ぶ雁の 声聞けば

  そぞろに恋し 越の海

  弓矢取る身は 敵の中

  いつの日逢わん 妻よ子よ

3 かがり火絶えて 夜ふかく

  置く霜白き 大手口

  時は来たれり 決戦の

    暁 迫る七尾城

  

◆七尾城は、七尾市古城町、七尾湾が一望できる石動山山系の北端にあたり、標高300mほどの山城であった。

1577年、畠山(はたけやま)一族の権力争いを極めていた七尾城に、ついに謙信が怒涛の勢いで侵攻してきました。謙信は、七尾城を兵糧攻めで攻略・孤立させましたが、苦難の末、七尾城はついに落城しました。

謙信が越後の春日山城に帰って間もなく急死、天正8年(1580)、前田利家が七尾城を奪還した。

 詩吟は、九月十三夜:上杉謙信が七尾城を攻め落とした後に、兵を休ませ、十三夜の美しい月光の下で酒
 
 宴を開いたときの作といわれている。

 平成3年(1990)二葉百合子の歌でキングレコードでCD発売された。