能登三度笠踊り唄(輪島市門前町)                         採譜:松嶋庄次

 

1 オヤレ三度笠やりゃげて(かぶ)れイナー(コラショーサンドイナー))

  ハアー少しお顔がイナー見とうござる

  (アリャ少しお顔がイナー)見とうござる

(以下はやしことば・カタガナ部分を略)

2 さいた盃 中見て上がれ 中は鶴亀五葉の松

3 あんさま買うてくだんせ 朝鮮べっこうのかんざしを

  村で差さんのは おらばかり

4 髪は黒島色白砂で 鼻は高島器量良し

5 あんた百まで わしゃ九十九(くじゅく)まで ともに白髪の生えるまで

 

     この唄は、輪島市門前町伝わる盆踊り唄である。ここの浜辺が大漁で賑わった頃、土地の人々の楽しみはなんといっても盆踊りである。この時期になると浜辺に老若男女が集まり楽しく踊った。粋な歌詞のように唄・三味線・太鼓・大衆舞踊がこれを支えている。

     中世までは、高貴な女性には市女笠が使われたが、男性に笠が使われるようになったのは、江戸時代である。当初、陣笠、菅笠、網代笠が普及したが、やがて編笠も出始め、深く顔を隠す深編笠や、飛脚専用の三度笠も現れた。寛文3年に京、大坂から江戸へ走る飛脚は月に3度制を採ったから「三度飛脚」といい、この飛脚たちが使った深編みの菅笠を「三度笠」といったのである。粋な(きゃ)(はん)に三度笠・・・当時の若い女性にとっては、憧れの姿だったのではあるまいか。この唄は三度笠のロマンを語り、思慕の情けを遺憾なく発散させている。