田んぼ染め(金沢市森本地区)                   採譜 高山久参

1 田んぼ染めでも 色さえ良けりゃ(アードウシタドウシタ)

  色に迷わぬ者はない。(アーヤチャコリャヤチャコリャ)〔以下はやしことば略〕

2 昔馴染みの去年の暦 そばにあれども間に合わぬ

3 田んぼ染めなら赤芽で染める 正部(しょうぶ)谷田んぼに花が咲く

4 昔馴染みとつまずく石は 飛び立たぬはずだよ子が可愛い

5 中野の山に長兵どんの話 今に残るかいたわしや

6 田んぼ染めとつまづく石は 痛いながらも振り返る

7 山は焼けても 山鳥たたぬ  たたぬ筈だよ 子は可愛い

8 昔馴染みと紅柄染めば  色はあせても 柄がよい

9 思うて通うたが 水かけられて  わしが通うたが 水の泡

 

   金沢市森本地区では、藩政時代以前から田んぼの泥を反物の染色工法「田んぼ染」としていたと伝えられている。春になると麻の種を蒔き、八月の初め、これを刈り取り、約十日間漬けた後、皮をむき、天日に干した。

冬になると手で紡いで機織り、出来上がった布を草の葉や木芽、山うるしの」木皮を煮詰め、その汁で染めた。染めた色が落ちないように鉄分の多い沼・田んぼに押し込み、約一週間漬けて置き、これを取り出して水洗いした。この染め方を「田んぼ染め」といい、水洗いしながら唄をうたったのが、「田んぼ染め」である。