やんさいこ(輪島市門前町地区)                採譜 上原英人

 

<前唄>

やんさいこの船は どこが(とも)やら やんさいこの おもてやらなー

(おもてやらなーどこが艫やら やんさいこの おもてららなー)

思うて通うのに 水かけられて おらの思いをやんさいこの水にしたなー

(水にしたなーおらの思いをやんさいこの水にしたなー)

<本唄>

1 おらが在所は名所で鳴らすよ(アーハイトハイト)

  おぐり岩やにソーレ 七つ島よ おや岩屋にそーれ七つ島よ(アーハイトハイト)

(はやしことば以下略)

2 番場城山の千年松はよ 地から生いたのか 植えたのかよ

3 小浜琴が浜素足で歩きゃよ 悲恋の小夜の忍び泣きよ

4 岩屋地蔵に差し出る水はよ 不老長寿に縁結び

    この唄は、輪島市門前町周辺で古くから唄われ踊られている民謡である。歌詞の中にある「やんさいこの船」は、村人たちがある日突然この地方では見られない全く異質な漂流船を見た。そのときの驚嘆や感動を海の人たち感覚で表現したのであろう。この唄は、釼地という集落に伝えられている。

◆ 能登半島は、日本海に長く突き出しているために古代から大陸の物や人が漂流する機会もおおかった。猿山を中心としてその前後が特に目立つようであった。この唄も福浦、剱地、五十州その他で古くから歌われ、踊られている民謡である。歌詞にある「やんさいこの船」は、ある日突然、能登では見られない全く異質な漂流船を見た。その時に漁民の感覚で感動をとらえている。どこが(とも)やら、おもてやら、どちらでも櫓を立てられる不思議な船だ。しかし、漕いで見ると便利さもわかる。湾内を漕ぎ回して見ると、腕にこたえる強弱感がやがて船唄としてぴったりと身についてきた。その船唄がやがて盆に踊った、に転化したものである。(「合併30周年記念・門前町の民謡集」から引用。